婚活にも役立つ「利用可能性ヒューリスティック」

こんにちは、結婚相談所ネクストライフサポート代表の西原和司です。

婚活の世界は、出会いと別れ、希望と時には失望の連続です。そんな中で、私たちの判断を左右するある心理的傾向についてお話ししたいと思います。それは「利用可能性ヒューリスティック」と呼ばれるものです。

アメリカで行われたある実験では、家事全部を100%として、夫婦に自分たちが家事にどれくらい貢献しているかを答えてもらいました。理論上、夫と妻の貢献度合いを合わせると100%になるはずですが、驚くべきことに(当然?)、その合計は多くの夫婦で100%を大きく超える結果に。これはなぜでしょうか?その答えが、「利用可能性ヒューリスティック」に隠されています。

余談ですが、最初に書いた「夫婦での家事への貢献度」の実験が興味深かったので私も妻に「家事の貢献度は何パーセントだと思う?」と聞いたところ即答で「100%」と答えられたのでそれ以上話すのを止めました(笑)。私もかなり洗濯も食事も作っているのでさすがに「100%」はないはずですが、ひょっとしたらこれも私の思い込み、利用可能性ヒューリスティックで思うほど私が家事に貢献できていなかったのかもしれません。

この記事では、利用可能性ヒューリスティックが婚活にどのように役立つか、また、ときにどのように婚活を邪魔するかについて、わかりやすく解説していきます。自分自身の思い込みをチェックし、理想のパートナーとの出会いを見逃さないためのヒントをお伝えします。

利用可能性ヒューリスティックとは?

「利用可能性ヒューリスティック」とは、簡単に言えば、私たちが情報を判断する際に、最も手軽に思い浮かぶ情報に基づいて決めてしまう心理的傾向のことです。

これは婚活に限らず日常生活でもよくあることで、たとえば、職場でどんな仕事をしているのかよく自分が理解していない人がいたとします。その人の仕事ぶりをちゃんと評価するには、その人が実際にどんな仕事をしているのかを把握してからしか判断できないはずです。しかし、実際には、知ろうともせずに「あの人はいつも机に向かっているけど、実際に何をしているんだろう?」という疑問から、「よくわからないから、たぶん大したことはしていないんだ」と推測してしまう人、意外にあなたの周りにもいませんか?

自分自身の仕事に関しては、どれだけ忙しく、どれだけ多くのタスクをこなしているかを正確に知っているため、「私はこれだけ頑張っているのに、あの人は…」という思考になりがちです。実際には相手も同じように仕事に取り組んでいるかもしれないという事実を見落としてしまう典型例です。

このような状況は、婚活においても同様です。相手の行動や思考を完全には把握できない中で、自分の経験や情報に基づいて早急に判断してしまいがちです。しかし、相手が何を考え、どのように感じているのかを直接確認することなく、自分の思い込みで決めつけてしまうと、素敵な関係を築くチャンスを逃してしまうかもしれません。

婚活での「思い込み」の罠

婚活の世界は多くの情報と出会いで溢れています。その中で、「利用可能性ヒューリスティック」の働きによって、ほんの一部の情報から全体を判断してしまいがちです。特に、マイナスの情報や失敗談は、強烈な印象を残しやすいため、一つの失敗例から「婚活ではうまくいかない」と思い込んでしまうことがあります。

例えば、友人が婚活パーティーで出会った相手と破局したという話を聞くと、つい「婚活パーティーでの出会いはうまくいかない」という結論に飛びつきがちです。しかし、これは明らかに利用可能性ヒューリスティックの典型的な例です。一人の友人の経験から、全ての婚活パーティーでの出会いが同じ結果に終わると決めつけるのは、非合理的です。

この心理的傾向は、婚活における自分自身の判断を歪める可能性があります。たとえば、あなたが以前に行った婚活パーティーで良い出会いがなかったとしても、それが全ての婚活パーティーに当てはまるわけではありません。それぞれのパーティーは異なる人々が参加し、毎回新しい可能性があります。

また、結婚相談所での婚活も同じように言えます。お見合いの際はお互い初対面なこともあり、多少なりとも緊張をしていることが多いものです。そうすると、そのお相手の緊張した姿しか見ていないためそれだけで判断してしまう恐れもあります。結婚相談所によっても若干異なりますが、IBJに加盟している結婚相談所では、真剣交際の前に「仮交際」というステージがあり、この仮交際では複数のお相手と交際が可能です。真剣交際に進んでよいのかどうかを判断する期間です。ですので、お見合いでよっぽどの理由がない限りは仮交際へ進めることをおススメしています。

この記事のまとめ

いかがでしたでしょうか?意外にあなたも、あなたの周りにも「利用可能性ヒューリスティック」のパターンだな、と思うことが日常生活であるのではないでしょうか?この「利用可能性ヒューリスティック」を人は避けることはできません。ただ、「利用可能性ヒューリスティック」というものを理解していれば、自分自身の考えも少し客観的に見ることができますし、また相手の言動や行動にも「あぁ、利用可能性ヒューリスティックだな」と分かって対応することができるようになります。(ここでは書きませんが、相手の「利用可能性ヒューリスティック」を利用することもできます。思い込みをそのまま続けさせたり、思い込ませたりする、という少しズルい、と感じる方法ですが。)

いずれにせよ、婚活では、ひょっとしたら生涯の良きパートナーとなったかもしれない出会いを直観的な思い込みによって逃してほしくないな、と思います。

今回の記事が少しでもあなたの婚活の成功のヒントになれば嬉しいです!