婚活コミュニケーションの落とし穴:オーバーシュート効果から考える自然体の大切さ

婚活において、誰もが良い印象を残したいと考えるものです。しかし、その思いが強すぎると、かえって逆効果になることがあります。心理学では、この現象を「オーバーシュート効果」と呼んでいます。これは、過度な努力や意識が相手にプレッシャーを与え、自然なコミュニケーションを妨げてしまう現象です。


対人心理学の研究によると、人は相手が緊張している状態を感じ取ると、自身も緊張してしまう傾向があることが分かっています。例えば、お見合いの場で相手が必要以上に気を遣っていると感じると、こちらも適切な反応を返さなければならないというプレッシャーを感じ、結果として会話が硬くなってしまうことがあります。


この効果は、特に以下のような場面で顕著に現れやすいことが知られています。


まず、話し方を作りすぎてしまうケースです。敬語を使いすぎたり、言葉を選びすぎたりすることで、かえって会話が不自然になってしまいます。相手も同じように丁寧な言葉遣いを意識せざるを得なくなり、本音での会話が難しくなってしまうのです。


次に、服装や外見に凝りすぎるケースです。もちろん、清潔感や好印象は大切ですが、普段着ないようなドレスアップをしすぎると、それを維持することに意識が向きすぎて、自然な振る舞いができなくなることがあります。また、相手にも「着飾りすぎ」という印象を与えかねません。


さらに、気遣いの過剰さも要注意です。相手の言葉に過度に同意したり、必要以上に気を遣ったりすることで、かえって相手に緊張を強いてしまう可能性があります。相手も「この人に対して失礼なことを言ってはいけない」と意識しすぎてしまい、本来の自分を出せなくなってしまうことがあります。


では、このようなオーバーシュート効果を避け、より自然体でいるためには、どうすればよいのでしょうか。


まず大切なのは、肩の力を抜くことです。完璧を目指そうとするのではなく、ある程度の失敗や間違いは自然なことだと受け入れる姿勢が重要です。実は、適度な失敗や照れは、かえって人間味として好印象を与えることもあります。


また、「8割くらいの自分」を意識することも効果的です。これは、TPOに応じた適度な配慮は保ちながらも、普段の自分らしさを失わない絶妙なバランスを指します。全力で頑張るのではなく、少し余裕を持って臨むことで、より自然な交流が生まれやすくなります。


そして何より、ありのままの自分の良さを大切にすることです。誰にでも、その人らしい魅力や個性があります。それを無理に変えようとするのではなく、自分の持ち味を活かしながら、相手との関係を築いていくことが大切です。


私たち結婚相談所のカウンセラーが日々実感するのは、最も印象に残るのは「自然体」の方々だということです。必要以上に背伸びをせず、等身大の自分で向き合うことで、相手も安心して本音を話せる関係が生まれやすくなります。


もちろん、初対面の方と会う際に、ある程度の緊張や意識は自然なことです。しかし、それに振り回されすぎないことが重要です。相手も同じように緊張している可能性が高いということを認識し、互いに肩の力を抜いて交流できる雰囲気作りを心がけましょう。


婚活は、人生のパートナーとの出会いの機会です。その大切な出会いだからこそ、飾らない自分の魅力を活かした自然体のコミュニケーションを心がけていただければと思います。