独身者の結婚意識と婚活状況について
こんにちは。結婚相談所ネクスト・ライフ・サポート代表の西原です。
今回は2021年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」を紹介したいと思います。
この調査は、独身者に関する調査、既婚者に関する調査を行っていますが、まずは独身者に関する結婚についての調査を紹介していきます。
結婚に対する考え方
結婚意志
「いずれ結婚するつもり」と考えている未婚者の割合は、男性81.4%(前回85.7%)、女性84.3%(前回89.3%)と、前回調査から減少しています。一方で、「一生結婚するつもりはない」と答える未婚者は男性で17.3%、女性で14.6%となり、2000年代から増加傾向にあります。
結婚意思についての前回調査(2015年)から大幅に低下しているものの、8割以上の人が結婚する意志はあるとも言えます。また、一生結婚するつもりはない、との回答割合が増加した理由は後ほど書く「独身でいることの利点」が影響しているのかもしれません。
結婚時期と相手
結婚する未婚者のうち、ある程度の年齢までに結婚するつもりと答える割合はほぼ半々であり、理想的な相手が見つかるまで結婚しないと考える割合が男性で48.6%、女性で51.7%と増加しています。
ひと昔前までは「もう〇〇歳なんだから、そろそろ結婚しなくては」と考えがちであったのが、年齢ではなく理想の相手に出会えるかどうか、が結婚のタイミングとして重視する傾向になったとも言えます。
結婚の利点
子どもや家族を持つこと
1997年以降、増加傾向にありましたが、最近では減少に転じています。特に女性では前回調査から10ポイント近く減少して39.4%となりました。
精神的な安らぎ
男性では「精神的な安らぎの場が得られる」が33.8%と微増しており、「自分の子どもや家族をもてる」を上回っています。
経済的な余裕
前回に続き、男女ともに微増しています。
前回の調査では「自分の子どもや家族をもてる」が最多で、今回も多くの回答を占めましたが減少しています。また、男性と女性とでは結婚の利点として考えていることに少し違いがありそうです。
男性は「精神的な安らぎの場が得られる」が増加し、「自分の子どもや家族がもてる」を上回ることとなりました。また、昔はよく職場で「結婚して一人前だ」(今考えると問題になりそうなセリフですが)とよく言われ、社会的な信用という面もありましたが、結婚の利点は社会的信用が得られること、と考える人は調査のたびに減少しています。
女性は多くの項目が減少するなか、調査のたびに「経済的に余裕がもてる」という回答が上昇しています。男性と違い「精神的な安らぎの場が得られる」「現在愛情を感じている人と暮らせる」という回答が減少傾向になっています。
個人差や社会的な環境により当然違いはあることは前提として、男性は競争意識が強いこと、女性は競争よりも共感する能力に優れていることから、この傾向は実は自然なことかもしれません。
婚活においても相手が求めているものを頭にいれながら行うことが、結婚につながっていくのではないでしょうか?
(男女の違いというのは、タブー視される傾向にはありますが、生物進化学の観点から考えると興味深いものがあります。こちらはまた別の機会にブログ記事にしたいと思います。)
独身の利点
自由な生活
「行動や生き方が自由」は、1997年以来最も多くの人が利点として挙げており、今回の調査でも男性で70.6%、女性で78.7%と微増しました。
友人との関係
「友人などとの広い人間関係が保ちやすい」との回答は低下傾向にあります。
責任のなさ
「家族を養う責任がなく、気楽」や「住宅や環境の選択の幅が広い」と答える人が増加しました。
独身の利点として高い割合を占めたは「行動や生き方が自由」ですが、2位以降の「家族を養う責任がなく気楽」「有事などとの広い人間関係が保ちやすい」「金銭的に裕福」というのも同じような理由かもしれません。
ここに婚活のヒントがありそうでう。完全に放任ということではなく、相手の価値観を理解して尊重し、互いに依存するのではなく自立した二人がともに生活を歩むことが望まれているのかもしれません。
交際経験
恋人または婚約者の有無
18~34歳の未婚者で恋人または婚約者がいる割合は、男性が21.1%、女性が27.8%で、2000年代前半から低下傾向にあります。
交際相手との出会い
学校で出会った割合が最多であり、SNSやアプリ等のインターネットサービスを介した出会いが急増しています。
ネットを通じた出会いは前回の調査ではほぼなかったのですが、2021年の調査では男性が14.9%、女性が17.9%と急激な伸びを見せています。2024年時点の調査はありませんが2021年からさらに割合を伸ばしていることが想像できます。
結婚へのハードル
結婚資金と住居
一年以内に結婚する場合、最も多くの未婚者が挙げる結婚のハードルは「結婚資金」で、男性47.5%、女性43.0%がこれを理由に挙げています。次に多いのが「住居」で、男性22.6%、女性20.9%です。
職業や仕事上の問題
男性15.4%、女性19.0%が職業や仕事上の問題を結婚のハードルとして挙げています。
独身でいる理由
若い年齢層
18~24歳では、「結婚するにはまだ若すぎる」「結婚する必要性をまだ感じない」「今は仕事や学業に専念したい」など、積極的な結婚の動機がないことが理由として挙げられています。
私もそれぐらいの年齢のときには結婚をする気がまったくなかったことを覚えています。
25~34歳では、「適当な相手にまだめぐり会わないから」が最も高い選択率を示しており、男性43.3%、女性48.1%がこれを理由にしています。また、女性の中で「異性とうまくつき合えないから」と答える割合が2005年以降上昇しています。
これらの調査結果から、結婚に対する具体的なハードルとして、未婚者の視点でいうと結婚へのハードルは経済的な側面が大きそうです。
これは個人的な話ですが、私の家は裕福とも言えず、むしろ周囲より経済的に貧しかったと思います。確かに子供のころは負い目にも感じていました。ただ、立派と言えるかどうかは分かりませんがそれなりに大人に成長しました。経済的な面は非常に重要であることには違いありません。ただ、「幸せな結婚生活」「幸せな家族生活」を考えると、経済的な面よりももっと重要なことがあるのではないかな、と思います。
また、独身でいる理由としては、若い年齢層では結婚に対する積極的な動機がないことが、25~34歳では適当な相手との出会いがないことや、異性との関係構築に関する課題が主な理由として挙げられています。
この記事のまとめ
いかがでしたでしょうか?かなり長くなってしまうので、ほぼ調査結果の紹介で終わってしまいましたが、独身者の結婚に対する価値観が分かったと思います。
婚活においては、このデータにも成功するヒントがあるのではないかな、と思います。一生独身で良い、と考える人が増えているとはいうものの、まだ8割以上の人には結婚願望があります。そして、結婚していない理由としては「まだ早い」とか「いい人がいない」という理由が多かったですが、裏を返せば適当だと思える年齢になったときやいい人と思える人と出会ったときは、やはり結婚して一生をともに過ごしたいという気持ちである人が多いのだと思います。
また、「独身でいることのメリット」として考えられていることが、結婚してもそのままでいられる、とか、それよりも結婚のメリットの方が大きいと感じたときには結婚となるのだろうと思います。
今回はデータばかりの紹介ですが、あなたの婚活のヒントになればと思います!