「答えはあなたの中にある」と言われても…コーチングが“あなたの答え”を見つける具体的な方法

前回の記事では、婚活が停滞する原因の一つとして、他人の「正しい答え」を探し続けてしまう「アドバイス疲れ」があること、そしてその解決策として、自分の中から答えを引き出す「コーチング」というアプローチがあることをお伝えしました。

記事を読んで、こんな風に感じた方もいらっしゃるかもしれません。

「『答えはあなたの中にある』なんて言われても、どうやって見つければいいのか分からない…」 「そもそも、自分の中にそんな答えがあるなんて思えない…」

その感覚は、とても自然なものです。私たちは普段、自分の心の奥にある声に耳を澄ます機会は、そう多くありません。

今回は、コーチングが具体的にどのようなプロセスで、あなた自身も気づいていない「本当の答え」を見つけ出し、それを自信に変えていくのか、その旅のステップを少しだけご紹介します。

ステップ1:コーチは「地図」ではなく「コンパス」を渡す

多くのアドバイスが、目的地までの最短ルートが描かれた「地図」を渡そうとします。しかし、コーチングは違います。コーチがあなたに手渡すのは、一枚の「コンパス」です。

なぜなら、あなたが進むべき方向は、コーチが決めるのではなく、あなた自身が決めるべきものだからです。

コーチは、いきなり「どうすべきか」を教えることはしません。その代わりに、こんな質問を投げかけます。

  • 「これまでの人生で、どんな時に『本当に楽しい』と感じましたか?」
  • 「もし、何の制約もなかったとしたら、どんなパートナーシップを築きたいですか?」
  • 「あなたが誰かと深く繋がれたと感じたのは、どんな瞬間でしたか?」

これらの質問は、あなたという人間が持つ「コンパス」の針が、本来どちらを向いているのかを確かめるためのものです。過去の経験や、心の奥にある純粋な願いに光を当てることで、あなただけの「幸せの方向」が、少しずつ見え始めてきます。

ステップ2:理想の「家」の設計図を、一緒に描いてみる

自分のコンパスが指す方向がぼんやりと見えてきたら、次はいよいよ「理想の家(=パートナーシップ)」の設計図を描くステップです。

前回の記事で、婚活を「家づくり」に例えました。コーチングでは、あなた自身が「建築家」です。そしてコーチは、その設計が現実的で、あなたにとって本当に心地よいものになるようサポートする、専門的なパートナーの役割を果たします。

例えば、あなたが「穏やかな関係がいい」と望んだとします。

  • アドバイスなら… 「それなら、あまり自己主張が強くない人がいいんじゃない?」と、相手のタイプを提案するかもしれません。
  • コーチングなら… 「あなたにとっての『穏やか』とは、具体的にどんな状態ですか?」「どんな時に『穏やかじゃない』と感じますか?」と問いかけます。

このように、あなたの言葉を深く掘り下げることで、「ただ静かな関係」ではなく、「お互いの意見を尊重し、感情的な波が少なく、安心できる関係」といった、より解像度の高い、あなただけの「設計図」が完成していくのです。

ステップ3:小さな「成功体験」というレンガを積み重ねる

立派な設計図も、それだけでは家は建ちません。最後に必要なのは、実際に行動し、一つひとつレンガを積み重ねていくことです。

しかし、コーチングが重視するのは、いきなり大きな目標を立てることではありません。むしろ、あなたにとって無理のない、ごく小さな「一歩」を設定し、それを確実に達成していくことを大切にします。

例えば、「次のデートで、自分の将来の夢について話してみる」といった、具体的で、達成可能で、期限のある小さな目標(SMARTゴール)を立てます。

そして、たとえ相手の反応が期待通りでなかったとしても、「目標としていた『話す』という行動ができた」という事実そのものを「成功」と捉えます。この小さな成功体験という「レンガ」を一つ、また一つと着実に積み重ねていくこと。

それこそが、揺るぎない自信を育て、いつしかあなただけの素敵な「家」を完成させる、最も確実な道筋なのです。

(まとめ) コーチングは、魔法ではありません。あなたを全くの別人に変えるものでもないのです。

ただ、あなたの中に眠っている「本当の願い」に光を当て、それを実現可能な「設計図」に落とし込み、確実な「一歩」を積み重ねていく。

そのプロセスに寄り添い、あなたが自分の力で幸せなパートナーシップを築き上げる力を引き出す、科学的で、そして何よりあなたを深く尊重する技術です。

もしあなたが今、たくさんのアドバイスの中で道に迷いそうになっているのなら、一度立ち止まって、あなた自身の心の中にある「コンパス」に、耳を澄ましてみませんか?